アービトラージは裁定取引と訳され、サヤ取りとも言われる取引のことです。
ちまたでは
- アービトラージは絶対儲かる!
- 裁定取引はノーリスク!
- サヤ取りなら元本保証!
などという噂が囁かれていますので本記事ではそういった噂の真偽や真相を突き詰めるところまで解説していきます。
アービトラージのことをすべて理解したい方、ぜひ本記事を最後まで読み進めてください。
裁定取引だけど、最低な取引なのか最高な取引なのか判断して欲しい(笑)
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①アービトラージとは?
アービトラージをわかやすく説明するために具体的な例をあげて説明していきます。
日本は非常に水資源が豊富な国です。そのため水道から出てくる水は1リットルあたり0.25円程度のコストで利用することができます。
しかし、サハラ砂漠など水資源に乏しい国ではいくらお金を払っても水を飲めないといったことも考えられます。砂漠で遭難している人なら1リットル1000円でも買うでしょう。
日本で買った水をサハラ砂漠で売ることができれば、儲けることができます。
しかし、水などの形があるものを場合は運んでいくための運搬コストや時間的なコストなどがかかります。
そのため簡単に儲けることができません。
現実の世界ではコスト無しに取引をすることなどできませんが、金融の世界では運搬コストも時間的なコストもかからないでできる取引があります。
その取引を、アービトラージ(裁定取引)というのです。
アービトラージを使ってどのように投資していくことができるのでしょうか?
②アービトラージでどのように利益を出すか
アービトラージを使って利益を出す方法はいくつかあります。
代表的なものをまとめました。
FXアービトラージ
FXを利用したアービトラージというものが10年ほど前に非常に流行っていました。
FXはインターバンクという為替を管理する大元の組織があり、そこを経由してFX会社が取引をしています。
しかし昔はFX会社によって、為替の値段が反映されるまでに時間がかかることが多かったので1番安いFX会社Bで買って、買った瞬間に一番高いFX会社Fで売って利益を稼ぐという手法がとれました。
これがFXアービトラージです。
※ただし、現在のFXアービトラージは価格の差がほぼゼロになってしまって実質不可能になっています。
ブックメーカーアービトラージ
ブックメーカーというのは「ヨーロッパのギャンブル屋」のことです。
日本では認可を受けていないギャンブルは禁止されています(日本で認可を受けているのは競馬、競艇、競輪のみ)が、ヨーロッパやアメリカではカジノなどのギャンブルは合法です。
ではこのギャンブル屋をどのようにアービトラージで応用するのかを具体的な例をあげて説明していきます。
巨人VS阪神の野球の試合があるとします。
もし、これをギャンブルにしようと思って東京でギャンブルにする場合と、大阪でギャンブルにする場合では倍率が大きく違ってきそうですよね。
ではこの画像のくらい倍率(オッズ)が変わってくるとして、東京では阪神に1万円、大阪では巨人に1万円賭けると、どちらが買っても2,000円の儲けがでることになります。
このような例と同じことがヨーロッパのギャンブル屋で行われているのです。
下記画像はヨーロッパのギャンブル屋で実際にアービトラージで儲ける例になります。
どちらのチームが勝っても利益がでます(引き分けの場合は払い戻しになるので、利益も損失もゼロになる)。
このような形でブックメーカーアービトラージが行われているのです。
株アービトラージ(株でのサヤ取り)
株アービトラージはFXアービトラージやブックメーカーアービトラージと違って価格変動リスクがゼロではありませんが、信用リスクが非常に少ないので1番オススメの方法です(価格変動リスクや信用リスクについては後述)。
株アービトラージの具体的な方法は
- 値動きがほとんど同じ株を2つ選ぶ
↓ - 2つの株の値段に差が大きくなる時を待つ(ちなみに値段の差のことをサヤという)
↓ - 安い方の株を買って、高い方の株を売る(株を持っていなくても売れる方法を空売りといいます)
↓ - 2つの株の値段の差が少なくなったら決済を行って利益を確定
という流れになります。
たとえば三菱UFJフィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャル・グループの株価は下記のような形でほぼ同じように連動していることがわかります。
この2つに株価が大きく離れている所で安い方を買って高い方を売り(両方買うことを両建てと言います。)、株価が同じくらいになってきたら決済を行って利益確定という形になります。
普通に株やFXの取引をするよりも価格変動リスクが非常に少ない方法になります。
FXアービトラージやブックメーカーアービトラージに比べると非常に現実的な方法で、お金の神様でも株アービトラージをおすすめしています。
これなら本当にノーリスクですね!
ではアービトラージのリスクについて説明していこう。
③アービトラージのリスクと元本保証
金融における代表的なリスクというもののは下記のようなものがあります。
- 価格変動リスク
→株などの値動きによって起きるリスク。
例:買った後に値段が下がって損をした - 金利リスク
→金利が上がったり下がったりすることによるリスク。
例:住宅ローンを変動金利にしたら金利が上がっていってしまって支払総額が増えた - 信用リスク(デフォルトリスク)
→お金自体がかえってこないリスク。
例:銀行が潰れてしまって預金が返ってこなかった。お金を貸した友人が逃げてしまった。 - 為替リスク
→日本円から他の通貨に変えた後の為替変動によるリスク。
例:ドル預金をしていたら、円高になってしまい円に戻したら損をしてしまった。 - 流動性リスク
→お金が必要な時にお金にできないリスク。
例:養老保険を投資代わりにしたが8年経過しないと元本に戻らないと言われた。事業投資をしたが、10年後までは現金にできない契約だった。 - インフレリスク
→物の価値が上がっていき、現金の価値が下がっていくリスク。
例:缶ジュースが110円から120円に値上がりした。欲しかった家が5%も値上がりした。 - カントリーリスク
→国自体の政治情勢や法規制などによって損失を受けるリスク。
例:香港に口座を作ったら国の規制で口座が凍結されてしまった。アルゼンチン国債を買ったらアルゼンチンが崩壊してしまった。
といったリスクがありますが、アービトラージは価格変動リスクのみノーリスクだと言えます。
FXアービトラージもブックメーカーアービトラージも価格変動リスクはありませんが、アービトラージソフトの誤作動があるかもしれませんし、FX会社やブックメーカー会社が倒産するかもしれません。
価格変動リスクがノーリスクなのですべてのリスクが無いと考えるのは非常に危険な事なのです。
リスク\種類 | FX | ブックメーカー | 株 |
価格変動 | なし | なし | 小 |
金利 | 小 | 小 | 小 |
信用 | 大 | 大 | 小 |
為替 | 中 | 中 | なし |
流動性 | 小 | 中 | 小 |
インフレ | なし | なし | なし |
カントリー | 中 | 大 | 小 |
価格変動リスクがノーリスクだから元本保証だという悪質な業者が後を絶たない
「アービトラージはノーリスクです。元本を下回ることがありません。そのため元本保証です!」などという営業トークでアービトラージ投資への勧誘をする業者が多くいるそうですが、上記でも説明したとおりアービトラージでも様々なリスクがあります。
それに元本保証という言葉は「銀行預金」「郵便預金」「国債」にのみ使っていい言葉で、一般の業者が軽々しく口にしていいことではありません(国が元本を保証する時のみ元本保証と言うことができる)。
株とかをやっていると価格変動リスクしか考えないので、すべてがノーリスクだと勘違いしてしまいました。
次にアービトラージを利用した悪質な事件について照会するよ。
④アービトラージを利用した詐欺事件
アービトラージを利用した詐欺事件は非常にたくさん報告されているようですが、主に2つのパターンになります。
- アービトラージを利用したソフトの販売(30万円~100万円程度)
- アービトラージを利用した投資
各々解説していきます。
アービトラージを利用したソフトの販売(30万円~100万円程度)
「ブックメーカーアービトラージがカンタンにできるソフトで、ノーリスクで投資ができますよー」という誘い文句でソフトの販売を行っている業者がいます。
たしかにできることはできるのですが、掛け金の上限があったり、時間的な制約があったりなどして毎日机に張り付いていても月に数万円程度しか利益がでないことがほとんどです。
15年ほど前までは稼げた人が多かったそうですが、今ではブックメーカーアービトラージの存在が広まりすぎてしまって、ほとんどアービトラージできる試合がなくなってしまったのです。
厳密に言えば詐欺ではありませんが、悪質な商品だと言っても差支えが無いでしょう。
アービトラージを利用した投資
被害額が非常に大きくなりやすいのがアービトラージを利用した投資です。
過去には450億円もの巨額詐欺になったケースもあり、非常に多くの被害者が出ました。ノーリスクという言葉が営業の誘い文句だったそうです。
基本的にお金の神様では、銀行や証券会社以外での投資の話をおすすめしていません。なぜなら95%以上が数年で失敗、もしくは詐欺などで元本割れするからです。
大切なお金は信用リスクが高いところに預けたり投資しては行けないのです。
変な投資の勧誘話には乗らないようにします。
友人や同僚、家族は信用できても、投資先が信用できるかどうかは別問題なんだ。
まとめ
でもやはりリスクはゼロじゃないですし、他のリスクを考える必要がありますね。
しかし、価格変動リスクが少ないというのは非常に大きなメリットではあるよ。
だって他の投資は予想が当たらなければ利益が出ないけれど、アービトラージなら予想をしないで利益が出る時だけ作業をするだけで利益がでるのだから。
価格変動リスクばかり考えて取引をしなければならない普通の株やFXなんてやりたくなくなってしまいそうです。
神様おすすめの株アービトラージから始めてみたいと思います。
多少の勉強は必要ですが、株アービトラージは安定的に収益をあげるには非常にオススメの方法です。
ぜひ新しい一歩を踏み出すきっかけにしていただければ幸いです。
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